昨晩、記事を見つけて(実は最初に見つけたのは妻でした…)「これは凄い!」と、すぐFacebookに上げたのですが、あまりに素晴らしい成果なので、こうしてブログに何か書きたくなってしまいました(笑)
今日もかなりの騒ぎになっていますが、当然の成り行きだと思います。人の細胞で同じことができればiPS細胞を凌ぐ成果となるでしょう。
つい先日、
癌化の話を書いたばかりですが、STAP細胞は遺伝子操作なしに多能性幹細胞(pluripotent)へと変換させているため、癌化の問題が回避できる可能性が非常に高く、作成方法、変換率、癌化リスクの全ての面で、臨床応用に最も近い細胞と考えられます。
と、ここで私が一人で力んでも仕方がないので(笑)、詳細は既にたくさん出ている記事に任せることにして、
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/science/medical_issues/?id=6105483私が個人的に感じたことを少々。
そもそも動物の細胞というものは、外部からの刺激(「刺激」というとマイルドに聞こえますが、要は細胞に対する「嫌がらせ」…というか「拷問」ですね)では多能性幹細胞にはならない、という「業界の常識」があったため、小保方先生が「酸の刺激で多能性幹細胞ができた」という研究成果を科学雑誌のNatureに初めて投稿した際には、レビュアー(審査する人)から「過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄している」とまで言われた、という記事が出ていました。
「できない」が通説になっている物事に挑戦するのは勇気がいります。もちろん、全く何の根拠もなく単にやってみる…というのはあまりにもリスクが高過ぎますが、ちょっとしたきっかけから、通説とは反対の結論を想定してそれを証明するのは、科学者冥利に尽きる研究内容だと私は思います。しかし、通説になってしまっているくらいですから、そう簡単には証明は難しいでしょうし、下手をすると一生を棒に振ります。文字通り「命を賭けた研究」と言えるでしょう。
とすれば、そういう類いの研究は、残された時間の長い、若い人のほうが取り組み易いはずです。行き詰まった分野や固定された概念に新たなbreakthroughをもたらすのは、小保方先生のような若い研究者にこそ頑張っていただきたい仕事だと思います。それにしても、たった5年でそれをやり遂げたのは、ご本人の努力はもちろん、着眼点と周囲のサポートの賜物であろうことは想像に難くありません。今後の研究成果の発表が本当に待ち遠しいです。
マウス胚(受精卵の細胞分裂が進んで胎児になるまでの間の状態)にSTAP細胞(緑の蛍光を発するようにしている)を移植すると、できあがった全ての胎児組織で蛍光が観察される。つまり、STAP細胞は全組織に分化する能力を有している、ということを示す一枚。
http://www.nature.com/news/acid-bath-offers-easy-path-to-stem-cells-1.14600
より転載もう一つ、個人的に非常に納得したことがあります。
細胞の初期化(多能性幹細胞に戻ること)が、圧力でも熱でも毒素でもなく、酸によって最も効率的になされる、ということです。
生命の発祥の地である海は、もともと非常に強い酸性の海でした。それが徐々に中和され、そこに単細胞生物が出現しました。その単細胞生物が進化を繰り返して、現在の私達に繋がっているわけです。つまり、私達の細胞の遺伝情報のどこかに、何らかの酸との関係性が記憶されていてもおかしくない、と思ったわけです。
いや、単にそう思っただけです。そう思って太古の海を想像していました。
でも、そういうことに思いを馳せることができる研究内容というのは、そうあるものではありませんよ!
「単細胞生物にストレスがかかると胞子になったりするように、(多細胞生物である)私たちの細胞も、ストレスがかかると何とかして生き延びようとするメカニズムが働くのではないか。そういうロマンを見ています。」
記者会見での小保方先生の発言ですが、まさにロマンですよねぇ…
ジェイヨシダクリニック
https://www.j-yoshida.jp/
posted by J.YOSHIDA at 18:35|
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