前回の続きです。
花粉や微生物以外にも様々な粒子があります。そしてそれらをクリーンルーム内に思いっきりまき散らす可能性のある、超危険な「ゴミ発生源」が存在します。
それは…
人間です。
人間はゴミの巣窟です。
いや、ゴミの塊と言っても過言ではありません。
衣類から出る繊維クズ、肌の表面から絶え間なくはがれ落ちる角質、これらは人間が動くたびに大量に放出されます。まさにこんな感じです。

そんなわけで、クリーンルーム内で作業する人間は必ず、下のようなチリの出ない特殊な服(無塵服)を着用しなくてはいけません。チリを封じ込める目的とそれ自体がチリを出さない素材でできた、「発生させない」ための最重要アイテムです。
また、培養室内の装置、特に回転系のもの(遠心分離器など)からも様々なチリやホコリが発生します。これらの機器はできるだけクリーンルーム内の排気エリア近くに設置して、チリやホコリが広がらないようにしています。これは「除去する」にあたります。
「ためない」というのは、室内の壁の材質を表面の平滑な素材を使用する、床と壁の境目は直角ではなくカーブをつける、清掃をしっかりする、といったことで対策します。
しかしながら、これらをもってしても、実は全ての粒子を完全に取り除くことは不可能なのです。
ですから、クリーンルームとは「微生物やチリ・ホコリがゼロに近い状態に維持されるよう、積極的な努力を払っている空間」と考えていただければ良いかと思います。
当然、その機能を維持するためにはメンテナンスを定期的に行うことが必要不可欠で、それを怠れば名前だけのクリーンルームになってしまいます。
当クリニックでもゴールデンウィーク明けにクリーンルームのメンテナンスを行う予定にしています。その際は培養業務は休止しますので、一時的に治療はお受けできなくなります。
長くなってしまいましたが、このようなクリーンルームの中で、皆さんの細胞は培養されています。培養中の細胞を顕微鏡で見るとこんな感じです。採取した皮膚から勢い良く細胞が出始めているところです。

そして、注入される直前にこのように集められます。チューブの底に溜まっている白い塊が数千万個の細胞の集まりです。

看護師のOさんが初めてこの白い細胞塊を目にした時に、「実際に細胞を見ると愛着が湧きますね。」と言ってくれて私も嬉しかった記憶があります。
私はこの治療法が本当に好きで、自信を持って仕事にあたっています。これだけの設備と配慮の中で大切に培養された大切な細胞達を、深い愛情と責任を持って皆さんの肌に送り届けていきたいと思っています。
ところで今気付きましたが、培養室の写真、結局少なかったですねぇ…^^;
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ジェイヨシダクリニック
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